鉄条の囹圄
内容紹介
いばらの中に落ちた種は、いばらに飲まれるより他にない――
四旬節。
復活祭を待ちわびる早春の犬釘市には、あたかもキリストの受難を彷彿とさせる暗雲が立ちこめていた。
受荊者――異能の荊を開花した者達の手による、無軌道な異常犯罪。
悪意のお膳立てに、誰もが喜々として堕落していく中。無法な受荊者を人知れず討ち続ける者達がいた。
ブラザーフッド。鉄槌同盟の野望を阻止するべく集った、囚人を狩る囚人達。
贖罪に人生を捧げた男。
自分の過去に敗れた男。
負い目に苛まれる少女。
灰に還り損ねた迷い猫。
しかし世界は、囚人の足掻きなどものともせずに。至るべき結末へ収束する――
これは、本当の残酷に抗う物語。